
14:00 牛タン屋がなぜかステーキ屋
とうとう接触ポイントまでやってきた。しかしトレイシーもシルバーアローも共に爆弾を抱えている状況である。新たな仲間との接触が唯一の精神的よりどころであったことは否めない。そこへ現れたちょっと違〜うSL。Mr.ノースの仲間なのか!!?
全くの無関係者だった。
しかし、ここがそれっ、なんちゅーか〜この〜特別な車種だからよって来るわけですよ。
先方さんも!「ほ〜すばらしいですな〜」である。
とてもステイタスのありそうな立派な紳士であった。腰も低く、丁寧な口調。車と人間の年齢が綺麗に逆転しているところが面白かったが、まあ若い我々には車に1500万円も出せないから仕方がない。
すると・・・
「き・きた!」振る帰りざまにEzzyが言った。真紅のSLCが滑るように駐車場に入ってきた。しかも・・・運転しているMr.ノースに注目したところ「渋い・・・」グラマロの第一印象である。ちょうどMr.ノースは、大昔の『徳大寺先生』といった風体である。
一見して、
一般ピーポー、グラマロ・・・
アメリカ帰りの謎の男、Ezzy・・・
なんか偉い人風、Mr.ノース・・・
三者三様なトリオが出来あがった。三人は挨拶もそこそこにまるで昔から知っている知人のように車の話で盛り上がった。
牛タンじゃねーけど喰ってやる〜
三人は半ばヤケクソになってステーキランチを注文した。
丁度、女子高生がマックではしゃいでいる様にいい大人が三人、ステーキ屋で車の話で盛り上がっている。
ただ、普通は車の話だとエルグランドの後部座席にTV付けただの、18インチのアルミ履いちゃっただの、HID付けちゃったという話になろう。しかし三人の話は・・・
197○年、当時日本で2台だけ○○がね、○○した・・・
328より後はタイベル交換の時にエンジン降ろさなきゃなんないでしょ、パンテーらみたいに室内から・・・
やっぱりタイロッドとアイドラも一緒にやちゃったほうが・・・
アクセルリンケージだのエキパンだのドライヤーだの380馬力だのニュルだのイギリスだの959だの・・・
話の内容が多岐にわたるのはもちろんだがエアコンのちいさな部品の話からスーパーカーの話までスケールが違う。知識というか経験というか・・・トニカク熱い話し合いが約2時間続いた。またその後は駐車場ではエンジンチェックやベルトの修理、もう何がなんだかわからないフェスティバル状態である。
また、107が三台揃い踏みというのがスバラシイ。しかも初期・中期・後期の三種、RとWの二種、を完全網羅している。盛り上がりも最高潮になった時突然入電があった。Mr.ノースは凍りつくような声で言った・・・「オランゲから入電だ・・・」
「オイラ オランゲ タダイマ ギュウタン カンショクシマシタ アーオイシカッタ ザマーミロ シャシン オクルネ バイチャ」
オランゲ氏の送信してくれた牛タン写真というのは喰い終わった後の空っぽの皿の写真である。
三人は押し黙ったまま次回のリベンジを頑なに誓ったのである!
Mr.ノースとは残念ながらここでお別れである。急遽入ったもう一つのミッションは部品を調達する為に19:00までにヨコハマのCafe簗瀬に行くことである。
ヨコハマから250km離れたかの地で時計は17:30を回ろうとしていた。Ezzyの目に心なしか力がみなぎっていたのは気のせいだろうか・・・という印象をグラマロはいだいた。単純に考えても到着は困難である。
日が傾きかけた中、黙々と南下する二台のSL。写真が全くないところがいかに切羽詰った状況であったのかを物語っている。
東北道から首都高に進入するころ前方の渋滞掲示板が派手に光輝いているのが目に入った。絶望的な心境の中更に湾岸めがけて南下する二台であった。
ややあって渋滞突入である。
いよいよ今回のツアーも千秋楽を迎える事となった。
20:20
19:00に到着しなければ閉店時間になってしまうCafe簗瀬に到着した2台のSL。やおらパーツを受け取ると駐車場で早速作業に入る。トラブルは即座に対応しなければならない。約10分でNEWパーツを装着しようやく安心してアクセルを踏めるようになったグラマロ。二台が気持ちよく走れたのはEzzy、グラマロそれぞれ全行程の65%、50%といったところである。
都筑でいつもの様に反省会を行った2台はリベンジに向け計画を再考中である。
とりあえずある程度の問題は解決している2台は着々とリベンジに向け準備中である。今度こそ牛タンを確実に胃袋に収める為に。
しかし、この時リベンジに起るであろう事態は誰も想像していなかった。つうーか今度は上手く行く!
上手くいかなかったら辟易モノである。
そう願いたい。 ・・・そう願いたいものである。
そして、オランゲ氏の駆る軽量ホイールSLをファインダーに収めたいと・・・
「16h・怒濤のリベンジ」の巻きへ続く・・・
この物語はノンフィクションを題材にしたフィクションであり、登場する人物は実在・・・あれ?実在するか!
文章:喜多川グラマロ
おまけ:ちょっぴり懐疑的な風情で昔の写真風に作ってみました(^^;

第5話 完 「怒濤のリベンジ」へ続く・・・
私の名はバック・ジャウアー。日本ダービーの前日、
私にとって人生でもっとも長い一日が始まる… 16h 第二話
前回までのあらすじ
・・・っつーか読んでください→「第一話へGO」 「第二話へGO」 「第三話GO」 「第四話へGO」
白河の接触ポイントで待つグラマロとEzzy。しかし定刻、そこに現れたのはR107ではなくR230というコードネームをもつ最新型SLであった。2人は恐る恐る近づいた・・・