6:30AM

東北自動車道「茄子高原」。走り屋の私にとってはストレス発散の単なる「場」に過ぎない。用は無いが俺の愛車ポルシェ911カレラでぶっ飛ばすのさ!誰も付いてこられない。
ふっ・・・ナメルナよだぜ!


俺は、GranMarron。みんなはオレの事をグラマロと呼ぶ。今日は少し早起きして仲間のEzzyと牛タンでも喰おうということになっている。6:00には起きて今まさに出発準備さ!オレの真っ赤な5リッター、別名305キュービックインチ(そのまんまヤン!)が吠えるぜ!浣腸だぜ!いや、ちがった完調だぜ!
ニャオ〜ン!!!!

My name is Ezzy ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ・・・眠い。十分程前にグラマロのTELで起きたばかりだよ。ヤロー、リーマンのクセして昨日は早起きして洗車してやがった。まったく。雨は嫌いだとかいっていたくせに降水確率が10%と知ると俄然張り切りやがって。俺も張り切るぞ!フフフフちょっとしたEvo.を施したことは内緒だぜ!

8:30AM

その日、EzzyとGramaroの2台のSLは東北道を順調に北上していた。
今日の降水確率は10%程である。今にも零れ落ちそうな雨雲や時折見せる太陽のもと着々と目的地へ向かって進行している。二人の目的は牛タンを食べる事。・・・ではなくMr.ノースと福島で合流し更にMr.オランゲの待つ仙台へ到達するのが今回のミッションである。国産のファミリーカーにとっては朝飯前の散歩かもしれないが、EzzyとGramaroの2台はさながらフルムーン(ちょっと古い)状態。トラブル覚悟というよりはむしろ弱いところをあえて出すために走っているようなものである。これで目的地に牛タンでも待っていなければヤリキレナイ事、甚だしい企画である。
・・・牛タンまで380km 9:45AM

2台は蓮田SAを出てしばらく走行している。GranMarronとEzzyはトランシーバーで会話を楽しんでいる。
Ezzy「Gaaaaaa・・・え〜チェック、チェック〜ゆっくりイコーゼーッ・・・どうぞ!」
Gramaro「ピッ・・・え〜了解了解!本日は晴天なり〜どーぞ〜  ピピッ」
ほとんど電池の無駄遣いであるが人間手に何か持つと使いたくて仕方がないものである。
これは昨年グラマロがL.A.でかなり値切って買ったものだが直線で1kmは軽〜く通話できるパワーを持つ。ランデブーにはもってこいだ!もってこいなのだが・・・ただ過信できない事を後々思い知る事になる・・・

10:20AM

私の名はバック・ジャウアー。今日は女房も実家に帰っていない、あれ?オレは独身だった。オレの彼女はポルシェなのさ。本当は89を狙っていたのだが87年の白いカレラの出物に手を出してしまった。しかしその走りには満足しているが少々外観は疲れている。80年代のアピアランスだから少々古臭くてもいいのさ!このあたりじゃ・・・かなりかっこいいぜ!いつかは「大黒」デビューしてやろうと考えているのさ。・・・っつーか、なんだ?ああSLか。

バック・ジャウアーのミラーにゆっくりと近づいてくる2台のメルセデスが映った。

二台揃って嫌な野郎だぜ!いっちょから遊んでやるか!

Granのトランシーバーに着信。 ・・・ピロピロピロピロ〜  「へいへい?こちらグラマロ」
「面白いのいるね。ポル君。いきますか?」
「その白いのね?了解!ついてくよ〜ん」
11時の方向、走行車線に巡航中のポルちゃんは我々のターゲットとなり、その場は一瞬にして20年前のアウトバーンの様相を呈した。我々は追い越し車線に縦のフォーメーションのまま、単独巡航中のポルをロックオンした。
先行していたEzzy-GOがまるで銀の矢のようにスーッと遠くなる。グランマロンもあわててアクセラレイト!
遠ざかるシルバーアローをグラマロの真っ赤なトレイシーがようやく捕まえる。
(トレイシーとはグラマロがかつてトレイシー・ハイドのファンだった事から、ただドイツという共通項だけで勝手にニックネームにしているだけである。)トレイシーは豊満な尻をぐっとかがめて200km/hの壁を越えはじめた。(←あくまでも物語です〜作話だからね、作話!)
「あのポルは何年式かなぁ〜?」
「85〜89といったところかなぁ?」
「あれ?ワーナーシンクロつんでるから89?(笑)」
「あっホントだ!っつーか見えないし・・・(爆)」

などと会話している間に
「あれ?ポルは?」
気がつくと遥か彼方の・・・彼方の・・・後方である。しかしポルもがんばっている様相であるので2台はややスローダウンし敵を待った。

くんにゃろ〜!今度は俺様が追撃だ!
バック・ジャウアーはかなり頭にきていたに違いないフル加速で2台に襲いかかっ・・・あれ?
またしてもスーッと離れていく2台のSL。この重爆撃機ランデブ〜という恐ろしく感じの悪い2台はツカズハナレズのスピードコントールでポルを手玉にとっていたかのように見えた。しかしこの時、悪魔にロックオンされていたのは、何を隠そう我々のほうであった。

トレイシーはシルバーアローの後方20m。追い越し車線で一糸乱れぬフォーメーションを組んでいた。
ぐっと尻を沈めたEzzy-GOに5000ccのエンジンを6000rpmも回転させてトレイシーが猛追している最中のことであった・・・。
「ふわ〜つ」
前方のシルバーアローが足元から青い煙をフワ〜っと吐いた。青い煙はすぐになくなったがややあってゴムの焼けるニホヒがトレイシーちゃんの鼻を刺激した。次の瞬間、Ezzy−GOは走行車線へ車線変更しするするとスローダウンした。窓越しに見えるEzzyはゴールドに輝く「眼」をしている。つまりサングラス越しにその表情は全く読み取れないが、なにやら薄ら笑いを浮かべているようである。
トランシバーが鳴ったピロピロ・・・
Ezzy「は〜い、グラちゃん!緊急ピトイン・ヨロシクデ〜ス」
Gramaro 「休憩ね? ラジッ!」
300m先に丁度ピットロード(SA)が顔を出したので単純に「休憩も良いか!」・・・とGranMarronは思った。ポルシェは近くにいたがあの位置では気づいてはいないだろう。グラマロはランプウェイに進路変更した。ポルを誘うようにウィンカーを出したが頑なに目を合わせない。
グラマロはランプへポルは直進していった。丁度並んだ時にポルに向かって軽く手を上げた。
ポルもあわてて手を上げた。これが大人のコミニュケーションである。
後方から元気のないシルバーアローがやってきた。
二人はこの時、事の重大さに気づいていなかった。しかも駐車場が込み合っていたので観光バスが止まるデカイパーキングスペースに2台でうっかり乗り込んでしまったのだった。



第一話 終了・・・   第二話へ  GO NEXT!


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とても元気なシルバーアロー!
家を出ようと乗り込んだ「トレイシー」
出発前に記念撮影するハメに。
この時点ですでに「確変」がかかっている。連打する予感を読み取れなかったのは
ワタクシの基本的なミスである。
私の名はバック・ジャウアー。日本ダービーの前日、
私にとって人生でもっとも長い一日が始まる…





       茄子高原近郊
       5/29 0:00 Shaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa・・・・・(シャワーの音)
       5/29 1:00 Shakashakashakashakashakashaka・・・・・・(歯ブラシの音)
       5/29 3:00 Gnaaa…
gwa・・・    gunaaaaaaa・・・(やや無呼吸症候群)
       5/29 6:00 Zzzzzzzzzzzz・・・ (もうえ〜ちゅうねん)

   
観光BUSに囲まれる2台のツワモノ・・・
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