
12:10PM 予定では仙台についている・・・時間
あいも変わらず「茄子?高原SA」
たった1台のSLはSA片隅のGSの更に片隅で大きな口を開けていた。途方にくれるグラマロは、Mr.オランゲに打電
「メーデーメーデー、グラマロハ エンコ イジー オンシンフツウ ソチラヘ ムカッテイルモヨウ トウホウ エンジンイキテイル アクセル ムハンノウ」
Mr.オランゲから即返答が・・・
「マカセロ イジー GPSデホソクシ ツカマエル ゲンザイ カフェヤナセ コマッタラ レンラクヨコセ バイチャ」
「バイチャ・・・(ゴクッ) そ・そうか、Mr.オランゲも同じアラレちゃん世代か・・・よ〜し、キィ〜ンって直すぞ〜」
グラマロはいとも簡単に勇気付けられた。リンケージ部品を創作する為にコンロをバラシた。要は球形のストッパーがあればいいわけである。
球体の再生は困難なので、機能的に球体を作り出すことにした。まずは接触面だ。
球体のプラスチックは抵抗が極めて少ない。そこでワッシャーを重ねて半球のストッパーを作る事にした。
しかしそんなに綺麗にサイズが徐々に大きくなっていく同経口のワッシャーなどホームセンターですらあるかどうか・・・そこで極めて抵抗が少なくなるようにスプリングワッシャーと通常のワッシャーをコンロから外し重ねた。フムフム・・・合うぞ!しかし所詮は半球である。ストッパーとして働くには全長が足りない。
そこでガス栓を使ってサイズを調整しようと考えた。ところがガス栓は金属なので好きな長さにカットできない。
・・・でゴム管だ。コンロには20cmほどのゴム管がついていた。ゴム管はリンケージのスティック状ピボットにぴたりとはまる。
「OH!ラッキー直径がドンピシャだ!」
グラマロはガスのゴム管をこんなにもいとおしく感じたことは、かつて無かった。
装着・・・先端のクリップを装着する為のバッファー(のりしろ)を微妙に調整。付けては外してカット、付けては外してカット・・・今度は短すぎてブルー
こんな微妙な調整にどれだけの時間を費やしたろうか。
13:20
Mr.オランゲから打電が入った。
「イジー ホソクシタ サイタンルートニテ ナスヘ リターン キュウジョニムカウ アンシンシロ」
グラマロに安堵の表情が戻った!
13:15 (5分戻る)
連絡を受けEzzyは茄子(那須)へ戻る為にすぐさま高速を降りた。
ところでMr.オランゲが何故、Ezzyとのコンタクトに成功したのか?それはEzzyがあまりに追い上げてこないグラマロを気にやみ電話をしてみようと携帯に手をかけた瞬間をスパイ衛星でキャッチし電話をかけたのだった。フルオープンの功名といったところである。北部方面隊はスーパーハイテクなのだ。
Ezzyは携帯電話で通話しながら高速をおりUターン!シートベルト検問の警官にすぐさま確認した。
「お〜い、そこでつっ立ってるおまわりさ〜ん、ここから一番近い『上り』のICは何処?」
本来であれば、通話しながらの片手運転は厳重に注意されるこのご時世だが、警察官も非常事態を察知しすばらしく機敏に対応してくれた。
断っておくが、コワオモテのオニイちゃんがベンツのフルオープンで身をのり出しながら唐突に道を尋ねてきたのでビビって文句が言えなかった・・・ということでは断じて無い。日本の警官もなかなかやるものである。
上り高速に飛び乗ったEzzyが下りのSA隅でぽっかり口をあけているトレイシーを目視したのは、それからしばらくたった丁度13:30を回ったあたりである。
13:40
無事に一時間ぶりの再会を果たした2人は茄子のSA脇のGSの更に脇で相談していた。部品の調達である。この粉砕した部品についてはEzzyがCafe簗瀬ヨコハマへ電話し、
「なんなんでこんなんで〜こんなやつ・・・在庫ある?ある!さっすが〜○○ちゃん!後で取にいくからね!いま?今はまだ遠いところにいるから、後ほど!ヨロピク!」
といことで一発決着がついた。しかしここから約250kmの道ノリである。慎重に帰らなければならない。リンケージが危ないのでアクセルからの負担軽減のためにクルーズコントロールでアクセルを引っ張ってもらう事にした。スロットルのリンケージはアクセル→クルコン→スロットルの順なので、クルコンに引いてもらうと修理したリンケージには負担がかからないというわけだ。北部方面隊との接触は今回は断念せざるをえない。ここで無理してガンバっても全員そろってローダーでの帰宅となっては元も子もないと2人は考えた。
13:45
丁度2人の目の前でローダーが巨大なアメ車を引っ張ってSAから出て行った。ドレスアップした美しい奥さんとかわいいお嬢ちゃん2人の四人家族が不機嫌そうにSA裏手に来た地元タクシーに乗り込んでいった。遠くからでもあの夫婦の会話を想像するのはたやすい事だ。
奥さん「だからいったじゃないの!何であんな車・・・何処がいいのよ(怒)結婚式遅れちゃうじゃないの!」
旦那「あ〜すまんすまん(笑)昨日修理したんだけどなぁ〜、いゃ〜参った参った〜あっははははは。・・・こういうのも思い出かな!ナンチャッテ〜」
奥さん「バカじゃないの(一瞥)」
娘達「・・・。あ〜つまんないの・・・。」
2人は自分に当てはめゾッとした。
本日のミッションをあきらめ東京方面にもどろうとした2人に打電が・・・Mr.ノースからだった。
「モドルナラ ツギノインター オリタトコロデ マテ ドウセナラ メシクオウデハナイカ トウホウ ソコマデ ナンカスル セッショクヨテイ 14:00 」
確かにどうせいったん降りるのだから逢おうという事になった3人は次のインターチェンジで合流となった。合流場所は牛タンならぬ・・・ステーキ屋である。
今回、「牛タン」そして「軽量ホイールを装着したSL」との遭遇は果たせなかったもののMr.ノースとの接触だけは果たせそうである。グラマロはトレイシーに「イケ〜」ではなく「レッツラ・ゴ〜」と叫んだ。(かなりの死語マニアである)
約束のポイントはあっという間の距離である。我々は10km北上。ノース氏は60kmほど南下してしてきた事になる。とても中間点とはいえない場所での合流となった。Ezzyとグラマロの2人は当然先に付いた。しかし、食欲があるわけでもない。ミッションに失敗したブルーな気分を何とか覆い隠そうと努力できる範疇ではあるが、どことなく言葉すくな。
どれくらいの時間が経過したろうか・・・Ezzyがいった。
「そろそろ現れる頃だ・・・」その言葉通り表れたのは・・・
えッ?
現れたのは何故か最新型のSLである。「確かノース氏ってばR107だったよね?」どちらとも無く口から出たのはそんなセリフだった・・・
第4話 完 5話へ続く・・・
私の名はバック・ジャウアー。日本ダービーの前日、
私にとって人生でもっとも長い一日が始まる… 16h 第二話
前回までのあらすじ
・・・っつーか読んでください→「第一話へGO」 「第二話へGO」 「第三話GO」
アポロ13的心情でコンロ片手に修復を誓ったグラマロ、一方で豪快にぶっ飛ばすEzzyこの時点でまだ2人にアクセスを許さない神・・・
しかし、ここで北部方面隊・通信部隊第一師団のMr.オレンゲが抜群のセンスで2人の途切れた通信を回復してくれる。なんと・・・まだ面識もない人間に対しここまで・・・
しかし、Mr.オランゲの活躍は止まらない・・・