シュー?

これ靴の事を英語で表したものである。「シューズ」とはもちろんシューの複数形であり、片一方の靴はシューである。下町で使われるのラフな言葉、ブロークンイングリッシュにおいてもこの辺りは厳密に使い分けられるから驚きだ。靴に関しては逸品で取り上げるほどのこだわりに乏しく、一般的な選択の範疇を出ないのでコラムにしてしまったというわけである。靴は通常モカシンと呼ばれる一枚の革で足をすっぽり覆うタイプの者とグッドイヤーウェルトなどの強靭な縫製で底を縫いあわせるものとの二種類に大きく分けられる。セダークレストやリーガル、また高級ブランド靴のチャーチルやグレンソンなどはコバの張ったプレーントゥーがやはり一番美しく、各メーカーがこぞってチカラを注いでいるものであるが、今回はそんな高級な靴ではなくでモカシン系に焦点を当ててみよう。モカシンはローファー、ビットモカシン、デッキシューズなどその形態によって若干呼び名は変わるが本質的には同じモノである。ローファーは革の袋に底を縫いつけるというシンプルな工程で作られるが一枚の革をいかに良い靴にするか逆に技術の問われるところである。またモカシン縫いは非常に贅沢な革の使い方をするので、見た目はモカシンだが靴底まで革が至っていないものは多く存在する。ローファーなどはつま先を見るとすぐにわかる。つま先に縦の縫い合わせがあれば厳密には一枚革でない事になる。バスやリーガルの高価なタイプで見る事ができる。もっといえば靴の中から底を縫い付けている糸が確認できれば最高である。

 ところでボクが一番思い入れのある靴は?と聞かれたら必ず答えるのが、といっても聞かれた事はないが・・・、トップサイダーであろう。トップサイダー!なんだかステキな響きである。ボクが中学生のころ憧れていた靴であり、この頃の憧れ・・・つまり物心付いた頃に最初に憧れたものというのはやはり思い入れが深い。いまだに赤のCB750FBがほしかったりするのもそのせいであろう。 

ワタクシ数年前に地方に出張したおりに寄ったボロボロの靴屋さんでの事である。

店はもう何10年も改装されていないようなタタズマイであった。偶然通りかかったわけだが店のガラス窓にすっかり色がなくなったポスターが1枚あった。なんと「トップサイダー」と書いてある。

「すいませ〜ん、ちなみにトップサイダーって扱っていたんですか?懐かしいなと思って・・・」

少し気恥ずかしかったが、ポスターを凝視している時に店主と目が合った。田舎のおっちゃんだったので思い切って聞いてみたわけだ。おっちゃんはヒマだったに違いない。話し相手が出来たという喜びに満ちたユックリとした口調でこういった。

「あ〜懐かしいね〜昔は人気がったんだけど・・・今の人はあんなの履かないから・・・あんた探しているのかい?」

「いや、探しているわけじゃないけど・・・」

「ちょっとまてよ」よっこらしょと立ち上がり店の奥の壁にある限りなくハシゴに近い階段をトントンと軽快に上がって行った。ごそごそやってからややあって

「あったあった!いや〜キタネーナー」と両手に持った二つの箱に「ふっ」と息をかけながら器用に階段を下りてきた。「これだろ?」

OH~TopSiderだ〜」この時のボクは小躍りしたいくらい嬉しかった。そそくさと箱を開けた。色は定番の白に定番のスタイルだった!サイズは・・・ん・・・微妙である。

「27.cmか、でかいなあ、トホホ・・・」

早速もう一箱をいってみたのだが赤のUSで人気の形である!

「やった〜・・・あれ・・・サイズが・・・24.cm、トホホ」

しかしコレクションとして結局二足とも購入したのだがおっちゃんは二足5000円でいいやと言ってくれた。その後、其々の靴はサイズがぴったりの人の下へ旅だっていったので現在手元にはない。しかしこのトップサイダー、横からみた形の美しさはいまだに衰えないモノであった。流行ったのおは1970年代の後半から80年代の前半である。現存していれば軽く20年選手であろう。ちなみに後半はタグのデザインが変更されているので古いものかどうかはタグを見ればすぐにわかる。それと濡れたデッキ上でも滑らないというソールは非常に柔らかくしかもグルーブが深い。ここまでいうとどんなの靴だろうと興味を持った片も多いのでは?

 どのようなシューズかというと・・・おしえない。