『シェラトン・シャルルドゴール』

インプレッシブという観点から見ると、ボクの記憶の中ではNo.1のオッタマ〜ゲ・カチョイイ〜ホテルである。
パリに滞在する時の立地から考えると、全くメリットは無いこのホテル。翌早朝のフライト前夜に便宜的に泊まるといった使い方になってしまうかもしれない事を考えると、ここを利用する観光客は決して多くないだろう。
しかし・・・である。ここのインテリアデザインには本物の「フランスのエスプリ」を感じるのである。
決して機能的ではなく、どちらかというと「わけのわからない」デザインがホテル中に施されている。エントランス、部屋・・・すべてがカチョヨク見せるためのデザインである。まずは、エントランスホール。なにやら光沢のある黒い石柱が並んでおり一体何処がフロントなのかさっぱりわからない。つまり入っていくと一抱えもある太さの黒い大理石の四角柱が2m間隔で並んでいる。正面から見ると黒い壁にしか見えないが中に進むにしたがってフロントマンが石の隙間に確認できる・・・といった趣である。
チェックインが済むと今度は部屋に移動するわけだが、部屋の中はまずバスルームの入り口が無い。何処にも無い・・・残るは・・・入ってすぐの左側が鏡とアルミの地金で一面が覆われている部分を残すのみだ。よくみるとその中に切込みがありドアだという事が解る。しかし開け方が解らない。試行錯誤の末、ハンドルが中から出てきて扉を開ける、そしてようやくウンコする事が出来るといった趣向である。しかしどうも落ち着かない。
トイレの中は一面の銀世界なのだ。
・・・と言っても雪が降っているわけではなく、本当の一面銀色空間なのである。
サンプル写真の部屋は少し違うが、僕の泊まった部屋は便器もシンクも壁も天井もバスタブも全てが銀色なのである。銀色というよりはアルミの地金むき出しという表現が正しいかもしれない。
まったくも〜な空間に身もだえしながらも、一人用の巨大ソファーに身を委ね、落ち着いたところで今度は時間が気になったのだが・・・
壁に目をやると強烈にアバンギャルドな時計らしきオブジェ。一瞬ただの飾りかと思ったが規則正しく動いているので時計だとわかった。しかしネオン管と飛行機のようなミニチュアの付いたそのオブジェ時計は一体「何時」を示しているのか・・・それとも動くオブジェだったのか?
この空間にはホトホト気を失いそうになったが、インテリアの色や質感全てにわたってセンスがいい。なんだかプジョーやシトロエンの内装を思わせる色使いである。ここにもお国柄がよくでるのだなぁとひとしきり感心した。そういえばここに向かってくるルフトハンザ機の内装のセンスは、まるっきりBMWのそれであったしアメニティーもドイツ臭がプンプンであった。機体自体はアメリカ製なのだが飛行機はお国柄がよく出るので乗っていて楽しい。
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