ハッピ〜? 文:喜多川 グラマロ
ある精神科医の定義であるが・・・人格は「気質」と「性格」からなるらしいのだ。気質と性格の違いは先天的か否かという事に尽きるらしい。つまり性格は環境によって変化し気質は生まれ持ったものであるということだ。なるほど上手くできた理論である。
「気質」はキシツと読むが「職人気質」と書くと「職人カタギ」となる。
「やいやいやいっ!こちとらカタギでい」などとワケのわからない事を言う江戸っ子も三代続かなければ「江戸っ子」を表記してはならないと憲法に定められているように、やはりカタギ(気質)とは遺伝的に形成されるようである。
ちなみにヤクザのいう「カタギのモンにゃ〜手をださねぜ〜」のカタギは「堅気」と書き、前述のカタギとはまったく関係が無い。
「法被」とかいて「ハッピ」と読む。カタカナにするとなんとも愛らしい響きだが、本来は「法を破る」と書く。なんとも穏やかではない雰囲気である。本来ハッピとは背中に家紋をつけて下級の武士に着せた上着であり決して美しさを競うものではない。現在では何故か大工さんや特殊な宗教団体の方々、旅館の客引きを生業としている方々などが愛用している。
複数の人間が背中に家紋を背負うわけで、日本に初めてマッカーサーが来た時にこれを見て「カモン!エブリボデー」とか言ったらしい。
・・・閑話休題。
つまるところ丈夫な上っ張りなのではあるが・・・自らを支配される側と誇示している衣類である。つまり身分を共通の衣服で区別することから考えると一種の囚人服に近いが、さらに不思議なことには江戸っ子はこれを「よう!粋だね。べらんめ〜」とか何とか言う。
「粋」とはヤボの反意語。つまり花柳界に精通していて、着る物にちょっと気がきいていて・・・と、難しい定義だ。これはやはり先天的なセンスのなせる技であり、この「粋だね!」という感覚は江戸っ子以外にはわかりにくい気質なのだ。
ちなみにハッピの数え方は1枚、2枚と数えるそうだ。わざわざそう辞書に書いてある。
ん〜ますます難解だぞ三省堂!