昔、千 まさおが言っていた。
「ガイヅィンと結婚すっとよ〜、まいにつぃ、褒めなきゃなんねんだぁ〜。これが大変でよ〜」
毎晩、帰宅するや「星の数よりも君を愛しているよ」「世界中を敵に回しても君を守るよ」「君への愛情は海よりも深い」云々・・・
つまり、「愛している」とか「美しいよ」という表現しかない日本語においては接頭の形容詞が肝(キモ)なわけである。
そのほかに、これらを意味するモノとして代用されるコトバは「君は天使だ」「ボクの太陽だ」といった類のものもあるが、
いまどきこんなセリフを吐いたら、言われた相手はどう思うか?
バナナの皮を踏んで転んだ人があわてて立ち上がり「ボクってオッチョコチョイのズッコケだよね〜テヘッ」と目の前で舌を出された時と同じくらいリアクションに困ってしまうだろう。間違いなく死刑を求刑されるに違いない。
さて、英語ではどのような表現があるのか?(イタリア語はもっと多そうだが)
女性や物質を褒めちぎる言葉として聞くのは・・・
beautiful :美しいね
lovely :愛らしいね
fine :聡明だよ
good-looking :カチョイイ
good-figure :ナイスバデ〜
gorgeus :めがさめるようだ
exquisite :スバラシ〜
heavenly :天国だぁ〜
picturesque :芸術的なうつくしさだ
mellow :豊かだ
enchanting :魅惑的だ
graceful :華麗だ
sweet :カワユ〜イ
gold :まばゆいよ
angel :天使だ〜
pearl :宝石のようだ〜
このほかにも色々とあるだろうが、驚くのはこれ全て口語で使われているということである。さらに、何が良いのか
「you looks nice in *****.」といった表現で具体的に告げる事を日常行っている。
日本人カップルが洋服を買いにいく彼氏と彼女のやり取りはおそらく・・・
彼女「これどう?素敵だと思わない」
彼氏「あぁ・・・いいね〜。いいんじゃない!似合うよ!」
彼女「本当?じゃあこれにしちゃおっかなぁ〜」
まぁ、ぶっ叩きたくなる様な会話だが、これはまだマシな方である。これがアメリカンな会話になると・・・
彼女「これどう?(クルッ・・・クルッ・・・)」
彼氏「ん〜いいね〜。美しい外観だよ!君がまるで天使のように見えるよ!黒が君を惹きたてているね!」
彼女「本当?うれしいわ!」
となる。直訳すると実にキモイ会話であるが英語だとなんだかカッコイイから頭に来る。
しかしだ、キモイなどとも言っていられない。国際人を目指すモノとして(誰が?)ここはひとつ褒めちぎりの術を身に着けなければならない時代になっているのだ。
実は、最近困った事があった。とってもビューリホーな人の事を知人に伝えたかったのだが、どんな風に表現したらよいのかコトバが浮かばない。
「これが綺麗な人でね〜、会話のセンスもいいし・・・スラッとしてて美人なんだよねぇ〜」
これでは、後藤久美子から大林素子までがこの範疇に入る。
モノの「美しさ」を具体的に褒めたり、人に伝えたりする術を実につけるコトは僕にとって永遠の課題なのかもしれない。
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