チップ・・・言葉使い・・・文化
TEXT: GranMarron
ハッキリ申し上げて、これも語られつくした感があるが、ボクなりの新たな解釈をまとめたい。チップ、これは資本主義の根幹にある「カネの価値」を如実に現した文化であると考えていたが、こいつを意訳すると「テキトウ」ということになると思う。ポーターに1$、ドアマンに1$、これは「ありがとう。少ないけどこれでテキトウに・・・」そんな匂いがプンプンするわけである。何故そう思ったか?それはもともとは存在しない価値をこちらがテキトウに決めるからに他ならない。ベッドメイキングも今回あえて1〜3$と日によって変えてみると、部屋の掃除レヴェルもそれによって変わるわけだ。ちなみにチップを置き忘れた日があるのだが・・・なんと冷蔵庫のカシュナッツが伝票についていた!チェックアウトの時に「何かの間違いだろ」と訂正を依頼したが、結局チョコレートバーの代金は徴収された。500円程度のものである。
アメリカ国内には多くの人種が労働しており英語なんてろくに出来なくても就職できる。現にホテルのメイドやカフェテリアのお兄さんは、ものすごい変な英語を使っている。が、意味は通じる。つまり重要な単語の羅列に過ぎないのである。ボクの事を日本人だと言って「ニホンジン、カワイイ、ニホンゴ、ムズカシイ」といったおじさんがいた。僕はふつう「コリアン」か「チャイニーズ」に間違われるので何故日本人だと判った聞いてみた。
So usually American people said to me "Are you Chinese?"
Tell me reason why you can discriminated Japanese from other orientally.
(アメリカ人はいつもオレを中国人か?とたずねるのに・・・あなたは、日本人と他のアジア人を何故見わけられるの?)
*ボクがこのように言っただけで、正しい表現かどうかは判りません
すると彼は、エクスキューズミー?を連発するのである。つまり意味がわからないと。そこでまさかとは思ったが、discriminated、をtellに置き換えてみると、Oh!
that my experience!と返ってきた。つまり彼はDiscriminationというフォーマルな表現がわからなかったらしい(いや、俺の発音か?)。彼は生粋のUS人ではなくスペイン人であること、東京駅のレストランで3年間アルバイトをしたことがある等の話を聞いた。言葉もまた適当なのである。言葉がテキトウだと細やかなニュアンスが伝わりにくい。気持ちは対価として支払う。これがチップの本質なのかもしれない。
ここシカゴは古きアメリカが色濃く残った街。「白人は偉い。色つきはブルカラー。」イヤミ無きヒエラルキーがしっかりと存在する街。カブスのサミーソーサーが住むアパートの最上階にはフレンチレストランがある。下のエントランスでは大柄な黒人がいて僕らが入ろうとするのを制止する。レストランに予約があるのだというと名前を聞いてきた。つまり予約がなければアパートの入り口は通過できないのだ。と、思ったら白人連中がズカズカと入ってきたが彼らは何のアクションも起こさない。住人のようであったが69Fもある巨大アパートの住人の顔を彼らが全て覚えているとは思えない。つまり白人はOK・・・なのである。
タクシーで13$に端数が付く、15$支払ってもお釣りは絶対にこない。しかし15$に対し20$札で支払うと「釣りはいくらだ?」と聞かれる。3$くれというと満足げにお釣りをくれる。金銭的に寛容でなければアメリカ旅行は辛いであろう。
また、いつも思うことがある(なんて数回しか行ったことがないが・・・)。やっぱり言葉は、口から発せられるものであるから、どんなに表現が的確だろうと、いい加減だろうと表現一つである。
「Cafe?Tea?」
「Cafe」
「Sugar or Milk?」
「is Black」
これ喫茶店で、あるいは機内で必ず耳にするやり取りである。確かに日本人には少々乱暴に聞こえる。でもこれは
「コーヒー?紅茶?」
「コーヒー」
「砂糖?ミルク?」
「ブラックで」
と直訳するからイメージが乱暴になるのである。これはスターバックスからホテルのラウンジ、エコノミーからファーストまで変わらないだろう。僕等も喫茶店で「私はコーヒーを所望したいのだが・・・」こんなセルフは吐かない。せいぜい「コーヒークダサイ」である。しかし広辞苑にはこんな例文は出ていない。メーンは『「くだされ」の口語形相手に事物を請い求める、懇願する意』とある。一方、「欲しい」は「手に入れたい」などの軽い感じで書いてある。これをみた外国人が「ワタシ、コーヒーガ、ホシイデス」というのは当たり前の事だろう。
そういえば・・・トイレ。毎回不思議でならないのが、最近こそ壁はあるが相変わらず鍵がなかったりするトイレが多い。ワタクシ、ウンチョスには人一倍神経質であるからどうも落ち着かない。ガバッとあいたっ扉下から「膝下が見えるじゃ〜ないか〜」と憤ってもよく考えたら覗く奴なんていやしないのである。覗きたくもない。しかし・・・こうなんちゅ〜か、便所を見れば日本人の島国根性を垣間見ることが出来る。・・・と思っていたのだが、今回は凄いことに気が付いた!昼食後、大きな会場でトイレを探す。皆さんもご存知だろうが、欧米はトイレが圧倒的に少ない。一つのフロアに3900人許容限界(法律で必ず表記がある)という会場を3つ持つシェラトンホテル。その大会場フロアにトイレは一箇所。メンズルームの内訳は便器は6つ。個室が6つ。
しかし・・・昼食後、トイレでボクを待っていたのは意外な光景だった・・・ つづく。