『負け犬』VS『カツラ』
負け犬の勝ち!


文:喜多川 グラマロ

 2004年、今年の年末には流行語大賞として「負け犬」というコトバが大賞を受賞するだろう。
この栄えある負け犬とは、30代、子無し、未婚という3つの条件を満たしたOLをいうそうである。しかし、この議論は余り好きになれない。
何故なら「負け犬」とは自らが勝者と誇っている部分が見え隠れするからだ。
それだけなら何も問題はないが、このコトバで恵まれない主婦達が一様の落ち着きを見せるからびっくりである。
「負け犬」というコトバを聞いて・・・

「やった!私たちは勝組なのよ〜」
と、心の中で叫んでしまった主婦達に告ぐ!君達の負けである。だって、どう考えたっていまどきの30代は美しい。・・・「いい女」とは30代をさすのだ。
独身であれば、尚の事である。人生を謳歌しているのは独身で綺麗なOLで、汚くしている子沢山のお母さん達は人生の殃禍(オウカ:災い)にさらされているのだ。

「もえろ〜ナ・ツ・コ〜♪」と世良正則が吠えていた頃は20代の後半でも通用した「いいオンナ」。
いまどきの「いい女」は金持ってなきゃ話にならないし、肉体的にもっとも均整の取れるのがむしろ30代。

そんないいオンナは『負け犬』と公言しても倫理的に問題ないのである。
もし負け犬の定義が40代の・・・50代の・・・という事になれば状況は一変する。誰も笑えないからである。
だから未婚か、既婚か、などというつまらない事に執着せず、とにかく美しくいてほしいものである。
天海祐希や藤原紀香が負け犬か?冗談じゃない。和久井映見や高岡早紀が勝ち組なのか?それも違う。
皆それぞれに磨きをかけていればいいのだ。

独身OLの30代ともなるとある程度、経済的にも余裕があるから自分を美しく見せようと努力している人の比率が高くなる。
負けを称しても笑えるのはそこだ!
逆に言えば、本当の負け犬とは自分を美しく見せる術を失ったときである。

すっかり太ってしまって近所のスポーツクラブで若いインストラクターと一緒に年甲斐も無くエアロビに燃える主婦に告ぐ!安心するな!だ。

さて、この30代OLはカッチョイイ!自らをこの流行言葉に乗せて負け犬と公言するのだから、余計にカッコイイ。いけてるOLにとってこのコトバは、自分達をカッコよく見せるためのツールに過ぎないのだろう。そこんとこが見えるから、時としてイケスカン!となるのだが・・・
さて、もう1つの対戦相手「カツラ」である。このように美しきオンナ達は世間の非難を回避するべく、いみじくも「負け犬」と称し、カッコイイ生き方を突き進んでいるのに比べてどうだろう。
「かけて美穂ッ!」なんて言われてすっかりその気になっているオジ様たちのことである。
昔から思っていた事なのだが、カツラの存在そのものを否定する気は無い。しかし、気づかれていないと思わないでほしいのだ。
また、「気づかれません」なんて嘘の宣伝をしないでほしいのだ。あれほど周りの人間に緊張を強いるアイテムはズラ以外にボクは知らない。

実は、中の良い知人にカツラ男がいる。彼はボクが尊敬する人格者であるがTOPが完全に薄いのが彼の悩みである。
今から7年ほど前だろうか・・・彼は、ボクにそそのかされて新しい車の購入に踏み切った。
現金150万円を頭金に、残金はローンを組む予定で、総予算は450万円。
高級外車のオーナーになるべく向かった先はボクが点検でお世話になっているBMWの正規ディーラーであった。

ところが、タバコを買おうと途中よったコンビニで彼はある宣伝マンにつかまった。○○ランスである。
2時間後、彼は○○ランスにキャシュで118万円を支払った。車の頭金は、ご本人の頭金になったのである。
サスガに118万円(予備用のカツラ込み)の品物である。生え際はご自身の自然毛であった事も大いなる追い風ではあるが、これが全くわからないのである。
ボクは、引っ張ったり擦ったりしたが、頭皮にネットのようなものを張っている事が、直接触った時にのみ解るだけで、間近で凝視しても全くわからなかった。
驚愕のカツラ技術である。

 ・・・と、そんな話ではない。その彼の凄いところは、ある日突然装着したフッサフサの若返り状態で我々の目の前に現れた事だ。
臆する事無く・・・
「どお〜(笑)似合う〜?」
まるで新しいメガネをかけてきた高校生のようである。これぞ男意気だ!

カツラはもともと「隠微」な「人目を偲ぶ」雰囲気が付きまとうので、ボクはその存在自体が好きではなかったが、こういうスタイルもあるのか・・・ 
そのときボクは、自分の了見の狭さを痛感したものである。しかし、カツラとの付き合いをそんな風に素敵にコナシテイル御仁は彼以外に知らない。

「カツラのカミングアウト!」このオープンなスタイルは、丁度「負け犬」と称するOLに近い。
「お局様・・・なんて気を使わないでよ!本当に楽しいんだから!」という歩み寄りである。それも「負け」という文言を使った、一見 謙虚とも取れる歩み寄りである。
「オイラ、ズラ〜マンなんだよね〜(パカッ)」くらいの甲斐性はほしいものである。
もっとも深刻な方もいるでしょう!(ご病気などで・・・)しかし、独身40代の男性が「女性にモテないから深刻なんだよ(怒)」なんてのは深刻ではない。
何故なら、モテない理由がハゲ頭だと真剣に思っているような人は、毛が生えたってモテない事に気づいていないだけであるから・・・(別な意味で深刻だ!)。

いいよなぁ、毛がある奴は好きな事言って・・・と思われるかもしれないが、オラッチも頭の毛は潤沢ではない。私は血統証付きのゲーハー(以下:Gh)家系の直系長男である。しかも最近、空港のクイックマッサージの先生に
「ん〜この頭皮の感覚は完全にハゲ頭ですね。もって、あと1年というところでしょうか・・・」
告知された(爆)のである。

『Gh男の逆襲』・・・オラもいっちょ本でも書いて、カミングアウトしちゃおうかな。


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