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表面張力の悲劇
TEXT:喜多川グラマロ
ブッタギルもなにもぶった切られた研究結果を報告しよう。ここに問う!「プリンは好きか?」である。ボクは大好きである。
厳密に言うならハウスプリンが大好きなのであって一般にあるプリンが好きという事ではない。もちろん嫌いではないのだが、6年ほど前に「プリン大辞典」を企画したときに具合が悪くなったのをきっかけに「プリン好き」から足を洗ったわけである。
この企画は我ながらすばらしかった。市販されているプリンを徹底検証しようという企画で、コンビニからデパ地下にあるプリン42品を買い集め風味、舌触り、コストパフォーマンス、満足度など詳細に格付けしようというものである。実際にこれは25品目の時点で敗退してしまい辞典と呼ぶには程遠いものであったが一応評価した。しかし、しかしである。
一日に25個のプリンを食ったことがあるか!?
強烈な苦行である。しかも、それに見合った対価は何一つ得られずもう二度とやらないと誓ったわけである。あまりに嫌な記憶であったためにすっかり封印していたが今回の前向きな研究を論文化するうえで記憶のなかにポロッと出てきちゃったのである。
さて、本題に入ろう!
タイトル:巨大プリンをつくろう!
経過:子供の頃から高尚なおやつとして名高いプリン。しかも育ち盛りには少々物足りないそのヴォリュームがより一層高貴な存在にさせる。今日、デカプリンやジャンボプリンが順調に売り上げを伸ばしているのも、こうした内在的欲求が作り上げた企画力に他ならない。グラマロは、今回内在する欲求を具現化するためにハウスプリンの巨大化を検討したので報告する。
手技・手法:ハウスプリンを5つ購入し作製マニュアルに従い原液を調合し、型に入れるステージで「ラーメンどんぶり」を用いて富士山のようなプリンの形成を行った。冷却時間はマニュアルの指示よりも3倍の時間をかけた。また、調合する時に水分量を90%に抑え凝固反応を促すように調整した。冷却装置は家庭用冷蔵庫ナショナル「パーシャル冷蔵庫」を用いた。
考察:今回の検討で、凝固と冷却時間の間には一定の相関が確認されたが観察1時間後からの冷却時間と凝固反応には相関が見られなかった。一定の時間を過ぎるとプリンの凝固は冷却時間に依存しないことが確認された。
巨大どんぶりから型抜きし平坦な更に盛り付けたが結果的には、プリンの表面張力は微弱でどんぶり程の容量で作った場合、プリンが自重に耐えられず原型を保つことが困難であるという考察に至る。自重に耐えられなかったプリンはグラマロがほくそえみながら型抜きした瞬間、ベロ~ンと放射状に皿から漏れ、愕然とした。
まとめ:
覆プリン、皿に帰らず
という残念な結果となった。
・・・論文風にまとめると、無味乾燥としていてどうということはないが、現実はカーペットが汚れる、落胆のあまり皿の上に残ったプリンを口にする元気がなくなる、山積みになったプリンの空き箱が悲しい等、ダメージは大きい。もう二度とするものか!とかなり落胆したと同様にプリンにはこんな理由があったからこそあのサイズなんだ!と気づいた。気を失うほど遅い「気づき」である。
ボクなりの考察はこの後である。結論!プリンは小型に限る!・・・である。大きいサイズのプリンは邪道である。プリンは小さいからこそ美徳なのであってジャンボサイズなど邪道なのである!しかもカップから出さずに食べるのは基本的に違反である。やはりプリンは皿の上に富士山のようなたたずまいで鎮座していなくてはいけないのである。今回の実験に懲りたボクは、スポンサー次第で更なる研究を進めることにした。今回の実験結果から表面張力という物理的な、しかも予測可能な限界を目の当たりにしたことで次回は失敗しない試験デザインを考えた。
ハウスゼリーのイチゴ味を25mプールに満たし泳ぎながら食べる事が出来るかどうか?を検証したいと思っている。
これらの経験から得られたことは・・・
『グラマロは失敗を生かす能力が欠如してる』というこの一点に集約される。
ボクの発想はぶった切られた。